内部牽制について考える(記事コラム)

内部牽制について考える


内部統制を知る上で重要なキーワードの一つに「内部牽制」という言葉があります。

内部牽制とは何か?と言うと

会社の業務プロセスに複数人が携わることにより、不正や誤謬を未然に防ぐ仕組み

のことをいいます。

伝票や見積書などの作成プロセスにて、作成者と承認者の2人が関わるといったものが代表的なケース。

重要な書類関係は大体、内容が妥当かどうかや法令違反はないかどうか、文字誤りや計算ミスがないかどうか、などを確認すべく、作成者と承認者が分けられる業務プロセスが導入されています。

また、こういった内部牽制を社内ルールとしてまとめたものが、「業務分掌規程」や「職務権限規程」を始めとする各種規程です(J-SOX制度の業務フローチャート等のいわゆる3点セットも同様)。

以上の通り、内部牽制とは、非常に有効な内部統制上の仕組みであり、業務の有効性と効率性、法令順守など内部統制の目的を果たすために有効に機能しますが、欠点もあります。

第一に共謀に弱いということ。作成者と承認者が「グル」になっている状態では有効に機能しません。また、完全な人間はいないわけであり、能力にも限界があるので全ての不正・誤謬を事前に防ぐことができるわけではない。

第二に権力者には有効に機能しないケースがあるということ。過去の粉飾決算の事例を見ても、当該欠点を原因とするケースは散見されます。

他には、有効な内部牽制がルール化、定着化していない場合にも有効には機能しません。内部牽制を構築するということは、諸所の理由によって阻害要因というものが存在するケースもあるでしょう(私も苦労させられた経験は数知れず・・・)。

こういった欠点による内部牽制(内部統制)の無効化を防ぐために、株主総会、取締役会や監査役会、各種会議体によるモニタリングが行われます。また、内部監査や内部報告制度、会計監査を始めとした外部監査人による監査や社会(世間)の評判といったものが存在し、「一定の効果」を得ています。

「一定の効果」としたのは、もちろん、依然として粉飾決算に代表される不正事例が存在し続けているためです。どの企業にも有効に機能するような制度はないというのが現実ということ。

では有効に機能するような解決策はないのか?というと、その答えは、制度化やルール化が難しいところ、固い言葉で文章化することが難しい箇所にあるような気がします。内部統制上の言葉で言えば、「統制環境」と言われる部分に該当するのですが、J-SOX制度で利用されるようなチェックリストでは浮かび上がらないところ。

一番しっくり来る言葉が「社風」ということになります。

企業の社風を分析していくと、企業とはヒトの集まりであり人間学だとか心理学などといった分野にまで範囲が及び、またヒトだけでなくPCや業務システムなどのITも内部牽制の一部を構成していることからシステム工学や情報セキュリティといった分野も含まれてくる・・・といったように考え出したらキリがないのですが、到底、制度化、ルール化できるものではないのでしょう。

企業を構成するヒトを中心とし、業務外の時間も含めて相互に影響し合った結果として「社風」が醸造される。この「社風」を研究分析していけば、不正を起こす企業なのかどうか?ということが浮かび上がってくるのでは?そんなことを考えます。

最近はIT関係で「ビッグデータ」という言葉が流行っていますが、大容量データを分析できる現在であれば、「社風」を分析し不正を起こす傾向のある企業なのかどうか判定するといったことは絵空事ではないと思います。既に研究しているのであれば、非常に興味があるのですが。数値化など難しい点はありますが、諸制度を補うデータとして有効に機能するのでは?と徒然なるままに考えてみました。

久しぶりに会計事務所らしいテーマでコメントしてみました。思うところ考えるところを述べるのは今までと変わりませんが、今後はオーソドックスなテーマも取り扱っていこうと思います。

更新日:2014年11月28日
作成日:2013年 9月20日
須藤公認会計士事務所
須藤 恵亮


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