内部統制とJ-SOX制度について(前回からの続き)

更新日:
公開日:

前回は、内部統制の定義と全社的な視点による内部統制について解説しました。

今回は、業務プロセスレベルの視点による内部統制とJ-SOX制度について説明します。

目次


3.内部統制を業務レベルの視点で考える

前回「内部統制を大局的視点で考える」では、会社全体の視点から説明しました。

今回は、業務レベルの視点から内部統制について説明します(J-SOXの理解にも役立つ解説になっています)。

3-1.内部統制とは | ケース2:業務レベルの視点から考える

C社は、設立7年目の会社です。これまで売上・利益とも順調に伸ばしてきました。

しかし、前年度は売上・利益が落ち込んでしまいました。

そこで、改善策を考えるべく、会社の内部統制について原因を洗い出すことにしました。

まずは会社全体の視点で内部統制を分析しましたが、問題は見当たりませんでした。

次に、焦点を絞って販売プロセスの内部統制について、分析することにしました。

その結果、次のことが判明しました。

販売プロセスの内部統制上の問題点

そこで上記の問題を改善すべく、検討した結果、次の対応策を実行することになりました。

販売プロセスの内部統制上の改善

3-2.業務プロセスレベルの視点による内部統制に関するまとめ

販売や仕入、研究開発など、業務プロセスのレベルで会社の活動を分析してみると、具体的な内部統制上の問題点を浮き彫りにすることができます。

また、具体的な改善策も考えやすくなります。


4.J-SOX制度について考える

これまでの説明で、内部統制の考え方について説明してきました。

最後に、現在の制度として導入されている「J-SOX(=内部統制報告制度)」について、簡単に説明します。

4-1.内部統制の基本的枠組み

J-SOXでは、内部統制には4つの目的と、6つの基本的要素があるとしています(アメリカで報告された「COSOのフレームワーク」という有名な基本的枠組みを踏襲したもの。ただし、基本的要素にITへの対応が追加されている)。

1.目的
 1)業務の有効性及び効率性
 2)財務報告の信頼性
 3)事業活動に関わる法令等の遵守
 4)資産の保全

2.基本的要素
 1)統制環境
 2)リスクの評価と対応
 3)統制活動
 4)情報と伝達
 5)モニタリング
 6)ITへの対応

4-2.J-SOX制度

現在のJ-SOX制度とは、上記の「1.目的」のうち、「財務報告の信頼性を確保するための内部統制」について規定しています。

また、導入の対象となる会社は主に上場企業です。

4-3.J-SOX制度のデメリット

以上、J-SOX制度について簡単に説明しました。

内部統制のどの目的も重要であることは言うまでもありません。

しかし、通常の会社であれば、最も重要視するのは「業務の有効性及び効率性」ではないでしょうか。

一方でJ-SOX制度は、会計監査の枠組みとして、導入されていることから、財務報告の信頼性確保に焦点を当てた制度となっています。

従って、財務報告の信頼性の確保を重視し過ぎるあまり、ややもすると他の目的、特に業務の有効性及び効率性を害してしまうケースもあります。

当初のJ-SOX制度もこのような弊害がありました。そこで改正された結果、現行制度では、少し緩和された内容となりました。

全体のまとめ

以上、2ページに渡って、「内部統制とは何か?」について解説しました。

制度であり、上場企業であれば取り組まないといけないことから、「内部統制 = J-SOX」という論調に、どうしてもなりがちになってしまいます。

しかし、J-SOXに捉われない本当の意味での内部統制を企業に取り入れれば、組織がより有機的に機能し、結果として企業活動の様々な成果を大幅に向上させることも可能です。

従って、内部統制とは、上場企業だけでなく、「どんな会社でも企業活動を行うのであれば、常に考えて取り組まなければならないもの」、ということです。

この解説が、皆さんの内部統制理解の一助となれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。



前の記事 | 次の記事