ベンチャーの資金繰り表の作り方 | 予測精度を高める2つのポイント
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資金繰り表とは、将来の会社の現金収入と現金支出を項目別にまとめた資料であり、経営者が会社経営する上で非常に重要な資料です。
しかし、資金繰り表を初めて作成しようとすると意外と難しいものです。
このページでは、特にベンチャーや成長企業の資金繰り表の作り方について、思うこと、考えることをコメントしてみました。
ベンチャー企業の資金繰り表の作成が難しい理由
もし資金繰りの予測精度が低い場合には、最悪の場合、資金ショートで会社倒産に陥ることも考えられます。従って、資金繰り表は慎重に作成する必要がある。
しかし、だからといって精度を高くするために慎重になり過ぎてしまうと、資金繰り表を作るのに時間がかかってしまった結果、将来予測の機能を果たせなくなってしまう、ということにもなりかねません。
このように、資金繰り表の作り方の難しさは、「落としどころ」にあると言えるでしょう。
どの会社にも経営理念や方針、社風といったところから業種・規模、取引先の数、現金や借入の状況などを考慮していくと、各々の会社で「この位の予測精度が丁度いい」と考えられる資金繰り表が存在するからだと思います。
ベンチャー企業の場合には、特に事業が安定した状態ではないため、特に当てはまります。従って、予測精度高い資金繰り表の作成には、難易度も一層高くなります。
予測精度が高い資金繰り表を作成するポイント
それでは、どのような点に留意して資金繰り表を作成すればよいでしょうか?
ポイントを2つ挙げて解説します。
ポイント1:三種類の資金繰り表を作る
まずは少なくとも三種類(年度、四半期、翌月)の資金繰り表を作成することをお勧めします。
予測の精度を比較すると
「年度 < 3ヵ月後 < 翌月」になります。
より近い将来である翌月には当然、高い予測精度が求められます。
ポイント2:段階的に予測精度を高める
高い予測精度の資金繰り表を作るには、得意先別の売上高、及び回収サイト、並びに支払先別の各支出項目の請求額、及び支払サイトを正確に把握しておくことが必要になります。
また、3ヵ月後、年度の予測表であれば、売上高の予測も必要になってくる。
最初の内は、資金繰り表の予測精度は、決して満足のいく精度にはならないと思います。
従って、まずは保守的な資金繰り計画表を作成します。
計画上(予算上)の売上高はそのまま利用せず、確実に入金されると思われる売上高だけを含めて算定します。
売上高に対して、支出項目は多めに計上するよう心がけましょう。
そして資金繰り計画表は、毎月、実績と必ず比較します。
また、月次が積み重なった四半期と年度にも比較しましょう。
資金繰りの場合には月ズレが発生するケースが多いので、月次ではなくより長い期間である四半期や年度でも計画と実績の比較はしておくべきです。
同時に取引先別、項目別に比較してみることです。差異の大きな項目については原因を検討して次月の資金繰り計画表に反映させていきます。
この原因分析がいい加減や曖昧だと、当然、精度高い資金繰り表に繋がっていきません。この原因分析をどれだけ精緻に行い、さらに次の資金繰り表にどのように活かすかが肝要です。
半年、1年と継続していけば、落とし所も分かってくるでしょう。少しずつ段階的に、保守的な計上ではなく、「実態に合った」計上に計画を合わせていきます。
地道な方法ではありますが、継続的に行うことで確実に資金繰り表の予測精度は上がります。