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改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公表(企業会計基準委員会)-税効果会計


企業会計基準委員会(https://www.asb.or.jp/asb/top.do)は2016年3月28日に企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の改正を公表しました。


【税効果会計基準と適用指針】

税効果会計に関する会計基準は、企業会計審議会(金融庁)が平成10年10月に公表した「税効果会計に係る会計基準」です。また、適用指針(実務指針)としては、日本公認会計士協会が公表した会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(以下、連結税効果実務指針)、会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針(平成23年改正)」(以下、個別税効果実務指針)及び監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(以下、監査委員会報告第66号)など、並びに企業会計基準委員会が公表した今回の企業会計基準適用指針第26号及び企業会計基準適用指針第27号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」などがあります。

繰延税金資産の回収可能性については、監査委員会報告第66号を中心として、連結税効果実務指針及び個別税効果実務指針など(以下、従来の指針)の中に記載があり、これまでの適用指針として適用されてきました。

【企業会計基準適用指針第26号の内容】

従来は繰延税金資産の回収可能性に関して複数の指針に記載されていましたが、網羅的に一つの適用指針にまとめました。基本的に従来の指針を引き継いだ上で、必要と考えられる見直しを行ったものとなっています。

従来の指針からの主な変更点は次の通りです。

・繰延税金資産の回収可能性を検討する際の企業の分類について過去の業績等の状況だけでなく、将来の業績予測等も含めて総合的に勘案することを考慮した。

具体的には(分類2)において、スケジューリング不能な将来減算一時差異であっても、税務上の損金の算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金に算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来の税務上の損金の算入時点における課税所得が当該スケジューリング不能な将来減算一時差異の額を上回る見込みが高いことにより、繰延税金資産が回収可能であることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合、当該スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとした(21項ただし書き)。

(分類3)及び(分類4)において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減した原因(又は重要な税務上の欠損金が生じた原因)、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3 年)及び当期の課税所得(又は税務上の欠損金の推移)等を勘案して、一定の要件を満たせば、(分類3)であれば(分類2)と同様(5年超のスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産の回収可能性について)の取り扱い、(分類4)であれば(分類2)又は(分類3)に該当する取り扱いとした(24、28、29項)。

さらに(分類5)において、過去(3年)及び当期だけでなく、翌期においても重要な税務上の欠損金が生じると見込まれることが要件として追加された(30項(2))。


【今回の改正について】

企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」は平成27年12月28日に公表されましたが、早期適用した場合における翌期の四半期連結財務諸表及び個別財務諸表について、比較情報としてどの部分を早期適用した年度の期首に遡って適用すればよいのかが明記されていなかったため、明記したのが今回の改正点となります(49項(2)、(3)@〜B)。


【適用時期】

企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」は、平成28 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用となります(早期適用可)(49項)。

なお適用開始した場合において、上記の【企業会計基準適用指針第26号の内容】に記載した従来の指針からの変更点のうち、21項ただし書き、24項及び28項に該当する場合には会計方針の変更に該当する取り扱いとしています(49項(3)@〜B)。この場合には企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第6 項(1)の会計基準等に定める特定の経過的な取扱いとして、当該年度の期首時点で新たな会計方針を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と、前年度末の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額を、適用初年度の期首の利益剰余金等に加減することとしています(第49 項(4)参照)。

作成日:2016年4月3日
須藤公認会計士事務所
須藤恵亮

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