個別原価計算とは|概要と手続きの流れを解説

机上のペンと電卓、税法

個別原価計算とは何かについて、概要と手続きの流れを解説します。

個別原価計算とは

個別原価計算とは、製品を大量生産ではなく、1注文毎に個別に受注生産する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目個別原価計算
説明製品を個別的に生産する生産形態に適用(いわゆる受注生産。衣服メーカーではオーダーメイド)
具体例海外ではシャネルやアルマーニ、
国内ではオンワードなど

個別原価計算に対して、製品を大量生産する場合に適用する製品別計算を総合原価計算といいます。

役割

個別原価計算の役割は、「正確な製品単価の計算」です。

「(第1次)費目別計算→(第2次)部門別計算」といった原価計算手続きで行ってきた「実態の製造活動を原価に反映させる」という目的を引き継いで(第3次)製品別計算である個別原価計算で完成させます。

勘定科目

個別原価計算に関係する勘定科目を例示すると次の通り。

・製造間接費 ・仕掛品 ・仕掛品-#〇〇〇 ・製品 ・材料 ・賃金 ・消費価格差異 ・賃率差異 ・製造間接費 ・予算差異 ・操業度差異 ・原価差異

個別原価計算の原価計算手続き

次の通り。

以下、それぞれの手続きについて計算方法や仕訳も含めて説明します。

(1)受注と製造指図書の発行

お客から受けた注文に基づいて受注処理部門が製造指図書に情報を記入して発行します。

発行した製造指図書は受注処理部門から工場の製造ライン(工程)に渡され、製品の製造がスタートします。

(2)費目別計算と部門別計算

製品別計算を行う前に、第1次と第2次の原価計算手続きである費目別計算と部門別計算を行います。

(3)原価計算表の作成と原価の集計

月の原価活動の結果を製造指図書毎に原価集計し、原価計算表に記入します。

直接材料費や直接労務費(あれば直接経費も)は「材料消費単価×消費量」「平均賃率×作業時間」で計算し、製造間接費は「配賦率×配賦基準」で計算します。

仕損が発生した場合には、工業簿記2級では補修指図書を発行して原価を集計します。

原価計算表によって当月の原価活動が把握できたので、この段階で各費目を製造に投入した事実を仕訳するのであれば、直接材料費は材料勘定、直接労務費は賃金・給料勘定、直接経費は外注加工賃、製造間接費は製造間接費勘定から仕掛品勘定へそれぞれ振り替える仕訳をきります。

(4)完成品原価と仕掛品原価の計算と記帳

原価計算表に基づいて、完成した製造指図書を合計して完成品原価を求め、未完成の製造指図書は仕掛品原価とします。

完成品原価は工業簿記では製品として記帳します。

(6)原価差異分析

直接材料費、直接労務費、製造間接費については原価差異分析を行い、予定原価と実際原価との差異原因を調べて、今後の製造活動の改善に役立てます。

ページトップへ