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最近の会計・監査業界の動向について(その1)


今回は、最近の会計・監査業界の動向について思うこと考えることをコメントします。

【キーワードは?】

最近の会計・監査業界の動向ですが、キーワードは

(1)会計・監査の国際基準への統一化
(2)不正への対応
(3)ビジネスの複雑化・多様化

です。

そしてその結果、

ルール(基準や実務指針といったもの)の増加。頻繁なルール改正。

が行われており、最近の会計・監査業界に大きな影響を与えているということができます。

「(1)会計・監査の国際基準への統一化」ですが、これは最近のキーワードになっている「IFRS(国際財務報告基準)」のこと。適用時期は、2015年以降とすることで現時点では未確定。金融庁で議論されています。IFRSについては、いろいろとネット検索すれば出てくるので詳しく知りたい方は調べて見て下さい。

 日本の会計基準とIFRSが、現時点でどれだけ違うのかといえば、大枠ではほとんど違いはありません。10年程前からいわゆる「会計ビッグバン」により、連結会計や時価主義会計を始めとする諸会計基準が施行・改正されてきました。この時点からすでに国際会計基準への収斂(コンバージェンス)は始まっていたわけです。

しかし現時点でも細かい点を見ていけば日本の会計基準とIFRSとで相違しているところは膨大な量になるわけで、現在もルールの施行・改正が行われています。

次に「(2)不正への対応」ですが、これは2008年から適用された、いわゆる「J-SOX法(内部統制報告制度)」や、最近のオリンパス、大王製紙、AIJによる不祥事を受け、不正に対応するためのルール施行・改正が増えている。また、一般事業会社だけではなく、学校法人や地方自治体、独立行政法人などのパブリックセクターについても不正に対応するため、会計基準の施行・改正が行われている。

最後に「(3)ビジネスの複雑化・多様化」。特にITを利用した多種多様なビジネスを行う企業が成長し、国内でも経済的な影響が大きくなっています。またライブドアを初めとした粉飾決算が目立つようになった。そこでこれらの業種に対応するため、ITビジネスを中心とした取引に関する会計ルールが施行されるようになりました。

以上を背景として、会計基準・実務指針といった会計ルールが大幅に増加、頻繁に改正されている、というのが現在の会計業界のトレンドということになります。

では現在、会計ルールはどれくらいのボリュームなのか?

参考までに公認会計士が会計監査で使用する書籍「会計監査六法」のページ数を調べてみました。結果は、

会計監査六法(平成24年度版)      2944ページ
金融会計監査六法(平成24年度版)    1550ページ
非営利法人会計監査六法(平成24年度版) 1385ページ
学校法人会計監査六法(平成24年度版)  1083ページ

ちなみに現在は「会計監査六法」というネーミングですが、少し前までは「監査小六法」という書籍を監査の現場では使用していました。この監査小六法のボリュームですが、サイズが会計監査六法よりも一回り小さかった。ページ数も平成18年度版が2472ページ、私が監査法人に入所した当時(平成14年度版)が1900ページ程です。この10年間でどれだけ会計ルールが増えているかよくわかるデータだと思います。

【会計士に求められる能力も変わりつつある?】

以上から、会計士の仕事のスタイルというか、求められる能力というのも変わりつつあるのではないか、と思います。ではどう変わるのか。

一昔前は、会計ルールが現在よりも非常に少なかった。そのため、個々の会社の取引が会計ルールに従って記帳され、決算書が作成されているかどうかについて、会計士が自らが理論立てて考える領域が多かった。従って、会計ルールの根底にあり、会計ルールには記述のない「会計理論」に精通しており、かつ会計理論に基づいて個々の会社の取引に当てはめて考えること、さらには自らの考えを会社に納得してもらうための説得力などが会計士に求められた資質なのではと思う。

それでは現在はどうなのかというと、会計ルールは大幅に増えたため、会計士自身が会計理論に基づいて創造して考える部分が非常に少なくなった。むしろ膨大なボリュームの会計ルールのうち、この会社の取引にはどの会計ルールを適用すればよいのかを迅速に探す、今風にいえば「検索する能力」、また会計ルールを、素直にそのまま個々の会社の取引に当てはめて考えるということ、すなわち「条文の理解力や解釈する能力」、ビジネスが複雑化・多種多様化することにより、また会計ルールの増加・頻繁な改正といったことに対応すべく、「自己研鑽により時代のトレンドや会計ルールをキャッチアップしていく能力」などが会計士に求められる能力なのではと思います。

【補足:会計自体が好きではない理由】

前回のコラムにて「会計自体がそんなに好きではない」とコメントしましたが、あれは会計士試験で勉強する理論などがあまり好きではない、という意味なんです。私は「実学の精神」を重んじており、またあくまでも実務家です。なので理論にはあまり興味がなく、A論とB論はどちらが正しいのか、なんていうような話は聞き流していることが多いです(笑)。

一方で制度化されたルールの趣旨や意義を理解し、条文を会社の取引に合うように解釈、当てはめていく、ということは好きなことです。また、経理業務、例えば会計システムへの入力や決算業務も好きな方です。ただし3,4ヶ月して慣れて来ると飽きてしまい、その後は別の人に任せたいと考える人間でもあります(だからといって、すべての面で飽き性というわけではなく、凝り性)。

他にも会計数字を数期分並べて推移を分析し、会社の組織体制やビジネスの状況を予想してみたり、過去、現在の会計数字を始めとする会社データを基にして未来を想像してみる、ということも好きです。

以上のような特性から、監査法人や事業会社での業務でもプロジェクト的な業務や短期的な仕事が多かった。監査法人時代にもいわゆる「張り付き(大企業の会計監査で、毎日のようにそのクライアント先で仕事すること)」ではなく、1、2週間毎で別のクライアント先で仕事していました(大企業にも数社、往査していましたが)。また事業会社でも決算上の問題解決や組織管理上の業務を構築する仕事が中心だったと思います。

当事務所の提供サービスも、自らの特性を最大限に活かせるよう設定しています。

2012年10月1日
須藤公認会計士事務所
須藤恵亮

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