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中小企業のIT投資について思うこと、考えること

全5回に分けて分かりやすく解説したつもりです。理解の一助となれば幸いです。


中小企業の「無駄にならない」IT投資をテーマとして統計データを検証してみる


現在は高度情報化社会であり、ITを利用する機会は年々増加しております。最近では「スマートフォン」、「クラウドサービス」、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」といったものが流行になっており、今後、ITはますます生活や仕事に密着したものとなるでしょう。

一方で経営者の立場からすると、「ITが便利であることは分かるが、無駄な投資は行いたくない」という意見もあると思います。

そこで、中小企業の「無駄にならないIT投資」をテーマとして、中小企業の「IT投資状況」と「経営課題」の関係に焦点を当てて、関連する統計データを用いて検証してみました。



1.国内IT市場 規模別にみる成長率について

図1は国内市場の規模別にみるIT支出額の成長率です。

国内IT市場のグラフ1

この図から(中堅)中小企業について分かることは、「2011年のIT市場はマイナス成長であるが、2012年以降はプラス成長」ということです。
しかし、これは成長率で見た場合です。今度は「支出額」で年度別に比較してみます。すると次の通りとなります。「2010年度を100とした場合、2011年:大体94 2012年:大体95 2013年:大体95」

従って、「国内IT市場を分析した結果、2012年、2013年は2011年よりも支出額が増加するものの2010年の支出額を下回る」ということになります。まだまだITにはコストをかけることができないという分析結果となりました。

【補足】2014年1月にIDC Japanより、上記グラフの実績+予測(2013年)が公開されました。概ね上記グラフの通りとなっています。また2014年1月16日に同じく、IDC Japanより「〜年商規模別データの提供を開始〜国内中堅中小企業IT市場予測を発表 」にて、次の通りコメントがあります(以下、引用)。

「年商規模300億円未満の企業(従業員規模別で999人以下の中堅中小企業の多くが含まれると想定)の2014年のIT支出規模は3兆2,646億円で、前年比成長率はマイナス2.5%を予測していますが、2015年以降はプラス成長への回復を見込んでいます。」(引用ここまで)

以上から国内景気は改善傾向にあるものの、中小企業は依然としてIT投資を控えている状況に変わりはないということが分かります。【補足ここまで】

更新日:2014年 8月24日
作成日:2012年 3月17日
須藤公認会計士事務所
須藤恵亮

中小企業のIT導入率を検証してみる


2.国内のIT導入状況

図2は国内中小企業のIT投資(導入率)の状況について従業員数別に統計データとして集計した資料です。

IT導入率

この図から分かることは、導入率が
「セキュリティ>HP(ホームページ)開設[会社紹介用]>*業務管理系アプリケーション」
*業務管理系ソフト:財務会計からSFAまでの8種類
となっていることです(他の項目は除く)。

私にはこの点、意外な感じがしました。
というのも、売上高を増やすため、広告宣伝活動の一環としてホームページの開設がこの3項目の中では、最も導入率が高いと思ったからです。
ただ、ホームページを利用しない広告宣伝活動(DMや訪問営業等)がありますし、ホームページでの集客には向かない業種もあるのでその点、考慮する必要があるようです。
それにしてもセキュリティの導入率が予想以上に高いので驚きました。

【補足】2012年9月に日本商工会議所(独立行政法人情報処理推進機構作成)より「中小企業等のIT活用に関する実態調査調査報告書」が公表されています(上記グラフの更新版)が、80ページに「経営課題の重要性とIT化対応(これまでと今後)」という一覧表が掲載されています。この一覧表の中に「親会社・関連企業からのセキュリティ要求に応えたい」という項目がありますが、これまでIT化に対応していた企業の割合は「48.4%」となっています。

この点、上記グラフのセキュリティ投資率(74.9%〜90.9%)と隔たりがありますが、「セキュリティを導入してはいる。しかし親会社や関連会社からのセキュリティ要求には応えられるレベルに至っていない」という部分が正に両資料の隔たりなのであろう、ということが分析すると分かります。【補足ここまで】

更新日:2014年8月24日
作成日:2012年3月17日
須藤公認会計士事務所
須藤恵亮



中小企業の経営課題について検証してみる


3.企業の経営課題について

図3は中小企業の経営課題について重要度を統計データとした資料です。

中小企業の経営課題グラフ

この図から分かることは「信頼のある会社>売上増大や業務効率化、研修教育、コスト削減」です。土台に会社全体の「信頼」があってこそ、売上にもつながるし、充実した研修教育や業務効率化、コスト削減も実行できるといったことでしょう。

【補足】2012年9月に日本商工会議所(独立行政法人情報処理推進機構作成)より「中小企業等のIT活用に関する実態調査調査報告書」が公表されています(上記グラフの更新版)。上記グラフ(2007年度調査資料)と同様の資料がありますが、2012年度も2007年度と同様、「信頼のある会社」がトップとなっています(重要と考えている企業が88%)。【補足ここまで】

更新日:2014年8月24日
作成日:2012年3月17日
須藤公認会計士事務所
須藤 恵亮


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